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磁気センサの応用とイノベーションへの期待
以下サンプルです。
最近、XaaS(X として S、M など)という言葉をよく耳にする。MaaS(Mobility as a Service)は車の目的は移動手段の提供であるということ再認識させる言葉で、従来の「車を所有」 する価値から、「車を利用」する価値の方に目を向けたものである。この背景 に IoT(Internet of Things) や AI(ArtificialIntelligence)の発展がある。また、SaaS は一般には
Software as a Service の略であるが、Sensor as aService の略であるとも考えられる。センサはある目的を実 現 するための手 段であり、Sensor as a Service の性格は最初から持っていた。ただ、センサは縁の下の力持ちで、表に出て目立つも
のではなかった。それが、上記の IoT の進展において再び注目されているのはセンサ技術者にとってうれしい話である。
これは、1970 年代にマイコンの発展により情報処理能力が向上し、そのための情報入力装置として 1980年代にセンサが発展したのと同様である。また、1980年代に発展した半導体や半導体製造技術を使ったイメージセンサやメカニカルセンサなど各種センサがビッグデータを生み出し、それを利用するために IoT、AI の発展を促したとも言える。
このように「情報処理」と「情報入力」の間の互いに刺激を与えあうスパイラルな発展を考えると、IoT、AI 時代にセンサに要求されることはなんであろうか?ここで、車と同じように、SaaS(Sensor as a Service)としてセンサを考えると、車における「移動手段」は、センサにおいては「困っていることの解決手段」であると思われる。したがって、「困っていること」 すなわち課題を見つけるのが最初である。筆者は和歌山県にある近畿大学の生物理工学部に勤めていた時に、同じ和歌山県にある近畿大学の先端技術総合研究所、水産研究所と共同研究を行ったことがあるが、養殖などの水産業は「困っていること」
の宝庫であった。農林水産業などの第一次産業は人手に頼るところが多く、水産研究所の水産養殖種苗センターでも、養殖魚の病気予防のための稚魚へのワクチン接種や、鯛稚魚の選別作業などが人手により行われてきたが、養殖筏の上の作業場の厳しい環境(夏は暑く、冬は寒い)やベテラン作業者の高齢化などのため、上記作業の自動化の課題があった。
稚魚へのワクチン接種は、ロードセルに先端に注射針を通す孔の空いた板を取り付けることにより稚魚に注射針が刺さったのを検出し、マイコンで電磁弁を制御し一定量のワクチンを送る込むことにより実現でき、また、鯛稚魚の画像による判別は、10年以上の年月がかかったが、ディープラーニングの一種である CNN(Convolutional Neural Network)を適用することに
よって人手による判別と同等の結果を得ることができた。このように課題が見つかれば、解決手段を考え実行することにより社会に貢献できる。これが、Sensor as a Serviceである。次世代センサ協議会では、従来からビッグサイトで開かれるセンサエキスポの会場において『無料センサ技術相談コーナー』を設け、困っている課題をもつ来場者の相談に対応してきたが、ホームページでも相談を受け付けるようになった。これにより、一層、SaaS(Sensor as a Service)が進展することを期待している。
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- 磁気センサ