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流体計測技術

2022年12月13日
大木眞一

流体計測とは、流体の流れ=流量・流速を計測すること、および流体の状態量(温度、圧力、密度、粘度など)を計測すること、さらに流体の現象(流れの様子、振る舞い)を解析・計測することを言う。このように一口に流体計測といっても、広い領域を扱う計測技術である。

流体計測するための主な原理としてベルヌーイの定理(流体エネルギーの保存則、図1)があり、流量・流速センサの代表例である差圧式流量センサは歴史的に19世紀以来この原理を応用して古くから開発、実用化され世の中で使用されてきた経緯がある。

 

 

流体計測の技術動向について以下のように考えられる。先日、エジプトで開催されたCOP27での気候変動に関する議論や、全地球的規模での自然災害、さらに国連で採択されたSDGsなど危機に対する取組み等々が吃緊の課題となっている。また、世界の人口増加にともなうエネルギーの確保と供給も大きな挑戦課題となっている。このような課題と対策に取り組むに当たって、いずれも対象となる自然現象に対する流体計測のニーズがますます大きくなっている。ニーズ例として、エネルギーのエリアでは、LNG、液体水素などの低温流体の計測。カーボンニュートラルのエリアでは、気体および低温液体のCO2計測。また、バイオ、医療のエリアでは気体・液体の微少流量計測など。流体現象として、特にエネルギー採掘現場における混相流(気体・液体の2相流、固体が混入する混相流など)を扱う測定技術も一層要求度が大きくなっている。実験室での流体解析を行う場合に、レーザを応用したLDV(レーザドップラー流速計)、トレーサ粒子を利用したPIV(粒子画像流速計)などの新技術の開発と応用も必要である。最近では、数値解析によるシミュレーション技術もスーパーコンピューターを活用して開発が進み、自然現象の分野を含めて応用事例が大きく広がっている。このように、流体計測に関わる分野の技術開発がますます期待されている。


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  • センシング基礎