Japan Society of Next Generation Sensor Technology
活  動
 

 藍 光郎(一般社団法人次世代センサ協議会 顧問)
Mitsuo Ai 
(Japan Society of Next Generation Sensor Technology)
1.はじめに
 次世代センサ協議会は1989年発足以来、今年で25年目を迎えた。発足当時、世界的には固体センサ・アクチュエータ国際会議(Transducers)が1981年から2年毎に米欧日の3極持ち回りで開かれ、国内でも電気学会が中心となったセンサ・シンポジウムが時を同じくして1981年から毎年開かれるようになった。
 1987年に第4回のTransducersが東京で開かれ、国内各学協会のセンサ部門が協力して大成功を収めた。これを契機として国内で横断的なセンサ・アクチュエータ研究・開発の協力体制を発展させようという動きが次世代センサ協議会の実現となった。
 2012年10月には、一般社団法人の申請がなされ、受理されたことにより、一般社団法人次世代センサ協議会が設立された。なお実際には、2013年6月より、一般社団法人次世代センサ協議会としての活動が開始された。一般社団法人化に伴い、会計年度が6月から翌年5月までに変更となった。

2.協議会の位置付けと組織
 協議会の位置付けは、片岡照榮初代会長の文1)に詳しいので、詳細はそれを読んで頂くこととして、その要点は以下の通りである。
 「一方、我が国の通商産業省(当時)では、我が国のエレクトロニクス産業の国際競争力強化のために、エレクトロニクスの基本であるセンサの研究開発を目的とした国家プロジェクトの検討が行われた。しかし、センサは千差万別の技術であるとともに、応用技術はさらに複雑多岐すぎることから、プロジェクトとすることは不可能であるとの結論になった。そこで、通商産業省(当時)から、“次世代のセンサ技術の研究開発について、いろいろ相談に乗って貰えるような団体を設立して欲しいという要請があり”、総合学会的な性格と次世代センサ技術開発政策のブレーン的な2つの性格を併せ持つ本協議会が発足した。協議会の名前も省の要請を受けて定めたものである。」
 組織は、目的に沿って、会長は片岡照榮氏(元電気技術総合研究所、シャープ(株))、副会長は学会から高橋 清氏(東京工業大学)、濱川圭弘氏(大阪大学)と産業界から五十嵐伊勢美氏(故人、豊田中央研究所)の3名、顧問として田中昭二氏(故人、(財)国際超電導産業技術研究センター)が就任された。
 活動の内、学会的な要素はその後新設された電気学会のE準部門にゆずり、センサ技術に関する調査研究、国際交流の促進等により、センサ技術の向上と普及を図り、産業および学術の発展に寄与する事業を行うこととなった。
 現在は、会長が江刺正喜氏(東北大学)、副会長が都甲 潔氏(九州大学)と神永 晉氏(住友精密工業(株))、小林 彬氏(東京工業大学名誉教授)、専務理事が大和田邦樹氏、常務理事が佐取 朗氏、顧問が片岡照榮氏、高橋 清氏、藍 光郎の3名、理事14名で運営されており、2010年度より、諮問会議(メンバー8名)が新設され、運営へのアドバイザリー的役割を担っている。
 委員会の構成は理事会の下に、運営委員会(7名)、さらに下部組織として企画(12名)、技術(17名)、調査(11名)と2013年より新設された事業(10名)の各委員会を設け、夫々活動している。定例の委員会は3ヶ月に1回開き、必要に応じて適時委員会を招集して企画、立案、推進、フォロ―アップなどを行っている。すべてボランタリーである。更に、後述のセンサ・ウィークには、実行委員会を毎年設立し会長を委員長、理事全員を委員として推進している。

3.センサ・ウィーク
 本会の最大の行事で1993年に始まった。毎年に東京有明の東京ビッグサイトで、フジサンケイ ビジネスアイ主催の「Sensor Expo Japan」の併催行事として3日間連続開催しており、正式名称は「センサ・アクチュエータ・マイクロナノ/ウィーク20XX」である。内容としては総合シンポジウム、展示コーナー、センサ技術無料相談コーナーから構成されている。
 なお2012年は、10月に東京ビッグサイトにて開催された。

3.1 次世代センサ総合シンポジウム
 例年は、3日間の午前、午後の6セッションで構成され、マイクロ・ナノ技術、自動車を中心にバイオ、ロボット、環境、無線通信など、時々の話題の技術や動向を夫々の分野トップの研究者、技術者に講演をお願いしている。
 因みに、2012年度は初日が午後のみの5セッションで構成し、テーマはマイクロ・ナノ技術、自動車用センサ、新規バイオセンサ、マイクロエネルギー源、先端振動センサ技術であった。
 毎年多数の参加者に最新の技術情報を提供している。

3.2 展示コーナー
 本コーナーは、センシング産業に関連する分野で、近未来に注目を浴びると予想され、話題性のある、試作品や研究成果など、学会等で発表されたが、まだ製品化されない研究や試作品を産官学の研究機関から出展して頂く、いわば、次世代製品のアンテナショップの性格を持つ展示コーナーである。
 2012年は、2大学、4公共研究機関、6企業、計12機関から出展があり、連日盛況で説明者も対応に苦労するほどであった。

3.3 センサ技術無料相談コーナー
 センサ・アクチュエータやその応用に関する技術的な知識、応用経験の少ないユーザや新人技術者がいる。次世代センサ協議会の会員は専門家で経験も豊富であるから、そのような方の色々な悩み事、困ったことなどに答えることができる。センサ・アクチュエータを正しく積極的に使って頂くことが必用であり、2000年から相談コーナーを始めた。
 展示コーナーの一隅に席を設け、次世代センサ協議会の委員が交代で相談に応じることとしたが、毎年50件程度の相談があり、席上での回答、持ち帰って調査した後の回答、専門の企業、コンサルタントを紹介するなど、相談者から感謝されている。勿論、回答できない相談もあり、相談内容も千差万別である。

4.シンポジウム
 シンポジウムは例年、年2、3回開催している。将来目覚しく進展するであろうと予測される技術をテーマとして取り上げ、参加者とのディスカッションを通じて技術の吸収とより深い知識の習得に役立たせて頂いている。
 また、2002年からは当協議会の法人会員はセンサ開発を積極的に行っている企業あるいはユーザおよびその関連企業であり、法人会員企業で技術的に注目を浴びユーザも興味を持つ研究成果のPRの場として、シンポジウム「センサ技術最前線」を開催している。
 2012年度のテーマは、「センサ技術最前線2012」「21世紀を見据えた鉄道とセンサ技術の現状と将来 〜センサ技術とその巨大応用分野である鉄道技術分野との交流シンポジウム〜」であった。

5.セミナー
 セミナーは、ある程度定着しつつある技術についての最新の動向を紹介するために、例年2、3回開催、シリーズとして継続開催しているものが多い。現在、シリーズとして継続しているセミナーは2件あり、2012年度は、「グリーンセンサシリーズ」が3回目で、サブテーマが「グリーンセンサ・NEDOプロジェクトの現状」であった。
 既に終了したシリーズとしては「環境」「感性のセンシング」「自動認識とセンサ」「加速度センサ」など、中断しているシリーズとしては「防災・安全とセンサ」「バイオセンサ」「アグリセンシング」がある。

6.講演・見学会(旧名称:研究会)
 講演・見学会は、主として会員を対象とした相互研修の勉強会であるが、講師は会員に拘らずに、専門分野における第一人者を招いている。参加費も資料代程度に収め会員が参加しやすいようにしている。
 当初は特定テーマについての深い議論を進める場としてテーマ研究会「マイクロ理工学研究会」と「マイクロマシニング研究会」を設置した。1996年までにマイクロ理工学研究会は11回、マイクロマシニング研究会は10回開催されたが、電気学会のセンサ・マイクロマシンE準部門の発足とともに活動の場を電気学会に移した。
 講演・見学会は毎年3〜4回程度開催しており、近年は大学や公私の研究所見学を兼ねたものが多くなっている。2012年度は、「独立行政法人産業技術総合研究所デジタルヒューマン工学研究センター見学と研究会」「公益社団法人土木学会との合同シンポジウム 維持管理におけるセンサ技術の応用 〜多角的な実例から明日のインフラ管理を考える〜」「未来を拓くロボット技術 −東京電機大学の新キャンパス訪問−」「最先端ヘルスケアの現状と将来展望 −前中センシング融合プロジェクトから−」の4件が開催された。

7.テクノスクール
 テクノスクールは、新人教育を中心に管理職再教育も意識したチュートリアルな講座であり、電気学会の「センサの基礎と応用シンポジウム」(当時の名称)の会期の前日に1991年から毎年開催していたが、現在はその限りではない。
 第1回は、青山学院大学で開かれ、120名以上の参加を得た。講師は森泉東京工業大学教授(化学・バイオセンサ)、三浦東京大学教授(アクチュエータ)、江刺東北大学教授(マイクロセンサ)、佐々木京都大学教授(光・放射線センサ)、中村豊橋技術科学大学教授(インテリジェントセンサ)(肩書きは何れも当時)であり、基礎から応用まで、幅が広く奥深い講義をして頂いた。この方針は現在まで続いている。

8.課題研究会
 課題研究会は、シーズとニーズの仲介をすることによって、新しい産業の創出・育成に貢献するための課題を議論する年1回の研究会である。電気学会にセンサ・マイクロマシン準部門が新設されたのを機に1997年からスタートし、当初、参加者は委員のみで報告書を一般会員に配布していたが、2000年からは一般会員にも広く参加を呼びかけ、2006年度からは広く一般にも参加枠を広げ、討論をおこなっている。

9.会誌、センサカレンダー
 本協議会の会誌「次世代センサ」は1991年6月に創刊された。当初は技術報告が主体であり、大きな国際会議があった年には、若手研究者を海外に派遣して国際会議報告書を計8回発行したが、大学に対する国の研究費が次第に増え、本協議会から補助する必要性が少なくなってきたこと、学会機能を電気学会に譲ったことなど、本協議会の使命は充分達せられたことから、補助制度は取り止め、1997年からは、特定テーマの特集を組み、大きな国際会議についてはその特集の中で会員に対する国際動向の報告をすることとして、現在まで継続している。
 会誌は特集の他に、技術報告、国内外の展示会レポート、書籍紹介、法人会員の無料製品紹介などを毎号掲載している。毎年1月と7月の2回発行され、最新のVol.22 No.2(2013年1月1日発行)では、8頁(4件)の特集「社会インフラ・モニタリング−橋梁−」、国際会議報告「IEEE SENSORS 2013」、次世代センサの展望「次世代センサに関連して振動アクチュエータの基礎を復習する」、などがテーマであった。
 センサカレンダーは、国内外のセンサ・アクチュエータ関連の大きな国際会議、展示会を網羅したもので、関連のものとしては世界でも最も広い情報を掲載している。会誌発行の中間に当たる3月と9月の年2回の発行で、次世代センサ協議会の行事も含め、毎回、70〜100の行事を掲載し、2013年3月で通算45号になる。職場の壁に掲載できるよう日付順の縦長の一覧形式であったが、2012年9月発行の44号より、経費などの関係で、A3縦の用紙両面に日付順の一覧形式と変更となった。なおセンサカレンダーに掲載の同じ情報は、次世代センサ協議会のホームページ上に、会員専用のページとして掲載され、各行事のホームページへのリンク設定がされており、簡単に各行事のホームページを閲覧することができる。

10.ホームページ
 ホームページについては、会員へ情報をより早く伝達し、意見のフィードバックを図るため、1998年から開設している。URLは http://www.jisedaisensor.org で、最近の構成は、以下の通りである。

1) 協議会概要
2) 協議会役員・委員名簿
3) シンポジウム・研究会・課題研究会案内
4) セミナー・テクノスクール案内
5) 法人会員案内
6) トピックス
7) Q&Aコーナー
8) 大学・公的研究機関研究室紹介とリンク
9) 関連団体リンク
10)関連情報
11)会誌『次世代センサ』巻頭言転載
12)センサ雑感

 Q&Aコーナーはセンサ・アクチュエータ・マイクロマナノに関する質疑応答のコーナーであり、一部、会員外からも利用されている。
 大学・公的研究機関の研究室紹介は、大学・公的研究機関の会員紹介であり、技術分野別に大別してリンクしているので、直接容易にアクセスすることができる。
 センサ雑感コーナーは、センサ・アクチュエータ・マイクロナノに直接、間接に関するエッセイ、提案、意見などを掲載する会員に開放された欄で、読者が気軽に読め、投稿できる欄であり、会員でなくても投稿が可能である。

11.支部活動
 次世代センサ協議会はセンサ・アクチュエータ・マイクロナノの研究・開発・製造者とユーザを結びつける全国的な組織として発足・活動してきたが、全てボランタリーなために活動は東京中心にならざるを得なかった。
 しかし、会員は全国的に散在しており、地方在住の会員に対するサービスおよび全国の関連の地方公共団体や個人に対する広報・普及にまで力が及ばなかった。
 そこで、2001年にまず、長野地区に長野支部、2002年に東北地区に東北支部、2005年に北陸地区に北陸支部が設立され、設立記念講演会を開催すると共に、支部主催の研究会を定期的に開催するよう関係者が努力を重ねている。
 支部設立は、所属する会員、その地方の諸団体の積極的な協力無しには維持・発展が出来ない。現在、近畿、九州等、支部設立を目指して準備を始めているところである。

12.研究会活動
 次世代センサ協議会では、センサ・アクチュエータ・マイクロナノに関連する特定技術、特定分野の産業創成・普及を支援することを目的としている研究会を設置することとなった。
 2012年4月に「社会インフラ・モニタリングシステム研究会」が設立され、目的に沿った活動を進めている。

13.おわりに
 次世代センサ協議会の設立とその活動について項目別に述べた。この間、新進気鋭の研究者を集めて学会設立の為の勉強会をした時期もあった。この勉強会は学会設立に直結しなかったが、電気学会のセンサ・マイクロマシン準部門の設立にあたって、大きく寄与したと信じる。
 Transducers、MEMSなどの大きな国際会議については、本協議会が後援して、開催地近辺の有力大学の研究室訪問を含めた調査団を派遣し最先端技術の収集に努めている。
 また、センサ・アクチュエータはキー技術ではあるが1つの技術分野では小さな存在でしかない。しかし、全技術分野で必要な横断的で境界領域の技術であるので、ゆるくても良いが是非とも将来は大同団結した組織を作るべきである。
 なお、2008年には次世代センサ協議会の創立20周年を迎え、2008年7月8日に国内外の著名なセンサ研究者を迎えての記念講演会および記念式典・懇親会を催した。
ナノテクノロジー時代が到来しつつあるこの時代に、その為にも、次世代センサ協議会は関係者・団体のご協力を頂きながら必要とされるよう努力を続けたい。


参考文献
1)片岡照榮:叙勲の栄に浴して、次世代センサ(10周年特集号)、Vol.9 No.1,3頁(1997)